震災復興への応援メッセージ

がまんは毒、旅にでもでかけましょう

篠原氏

篠原 菊紀 氏
諏訪東京理科大学共通教育センター教授
特定非営利活動法人日本ヘルスツーリズム振興機構アカデミックパートナー

長野県茅野市出身。東京大学教育学部卒、同大学院教育学研究科修了、東京理科大学諏訪短期大学講師、助教授を経て諏訪東京理科大学共通教育センター教授、学生相談室長、東京理科大学総合研究機構併任教授。専門は応用健康科学、脳神経科学。多チャンネルNIRSと視線追尾システム、心拍解析を使って、「学習しているとき」「運動しているとき」「遊んでいるとき」など脳や体の活動を調べている。NHK、民放のTV・ラジオにて実験や解説の出演、著書多数。

震災以降、被災した方々はもちろんのこと、日本中の人たちにある種のがまんが強いられています。そしてみなさん立派に耐えている。その姿は美しいですが、がまんは毒でもあります。
たとえばこんな実験。チョコ好きでドーナツ好きな被験者の目の前に、おいしそうなチョコレート・ドーナツを置きます。それから、ドーナツに手をつけず数分間我慢するよう指示します。その後、被験者たちに、「ざけんじゃねーよ、何なんだよその顔は!」「てめーの存在自体が○○なんだよ!」といった調子で理不尽にガンガン責め立てます。屈辱的な目に合わせます。結果、指示を守ってドーナツに手をつけなかった被験者の方が、つい食べてしまった被験者より、屈辱に対して攻撃的な反応を示しました。
同じように、がまんや自制心を必要とする課題を被験者に与え、それから見たい映画を選ばせると、怒りをテーマにした映画がよく選ばれます。また、怒った表情を長く見がちになったり、怒りを表現した文章を好んだりします。自制心の発揮は、怒りの抑制を困難にし、さらに「怒り」に対する関心や興味を高めてしまうのです。
みなさんそろそろ旅にでも出かけましょう。プチ贅沢しましょう。心はそうやってバランスを取っていきます。